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「いいね」の先にあるもの。SNSの“共感”を“信頼”に変えるために、今見直したい3つのこと

その「いいね」、本当に届いていますか?

「今日も投稿にたくさんの『いいね』がついた」「フォロワーも少しずつ増えてきている」。SNSの通知が届くたび、小さな喜びを感じますよね。企業の広報担当として、日々コンテンツを企画し、発信を続けるその努力は、本当に素晴らしいものです。

しかし、その一方で、こんな風に感じてはいませんか?

「エンゲージメント率は悪くないはずなのに、なぜか問い合わせや売上といった具体的な成果に結びつかない…」 「頑張って情報発信しているのに、なんだか手応えがない…」

もし、そんな風に感じているとしたら、それはあなたの努力が足りないからではありません。もしかすると、届けたい相手との間に、ほんの少し「認知のズレ」が生まれているだけなのかもしれません。今日は、そのズレを解消し、SNS上の「共感」を、ビジネスの土台となる「信頼」へと育てるためのヒントについて、一緒に考えてみませんか?

「共感」と「信頼」のあいだにある、見えない壁

なぜ、たくさんの「いいね」が、必ずしも仕事の依頼に繋がらないのでしょうか。その大きな理由の一つに、「共感」と「信頼」の違いがあります。

共感は、「わかる」「素敵だな」「面白い」といった、その場での感情的な結びつきです。投稿単体で完結しやすく、多くの人に届く可能性を秘めています。しかし、それはあくまで一時的な感情の共有であり、その感情がすぐに次の行動、つまり「この会社に相談してみよう」とまで発展するとは限りません。

一方で信頼は、「この情報なら間違いない」「この人(会社)に任せたい」という、継続的な関係性の中から生まれるものです。それは、専門性や一貫性、そして発信者の人柄や哲学に触れることで、少しずつ育まれていきます。

多くの「いいね」を集めることに集中するあまり、いつの間にか「共感されやすい投稿」を作ることが目的になってしまう。それは、本来の「自社の価値を、それを本当に必要としている人に届け、幸せな関係を築く」という目的から、少しだけズレてしまっている状態と言えるかもしれません。この見えない壁を越える鍵は、発信の「あり方」そのものを見直すことにあります。

「共感」を「信頼」に昇華させる3つの視点

では、どうすれば共感を信頼へと育てていくことができるのでしょうか。小手先のテクニックではなく、あなたと会社の「あり方」を問い直す3つの視点をご提案します。

発信の「軸」を、もう一度定義してみませんか?

まず、心に問いかけてみてほしいのです。「あなたは、SNSを通じて“本当に届けたい一人”の顔を、具体的に思い描けていますか?」

ペルソナ設定というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「たった一人でいい、この人にだけは届けたい」と思える理想のお客様のことです。その人が何に悩み、どんな言葉に心を動かされ、どんな未来を望んでいるのか。解像度を高く、深く想像してみましょう。

発信の軸、つまり「誰に、何を、なぜ伝えたいのか」が明確になることで、投稿の一つひとつに一貫性が生まれます。流行りの話題を追うのではなく、その人に向けて、誠実にメッセージを紡ぎ続ける。その一貫した姿勢こそが、「この会社は、私たちのことを深く理解してくれている」という信頼の土台となるのです。

「お役立ち情報」の背景にある“想い”を語ってみませんか?

「〇〇を解決する5つの方法」といったノウハウ系の投稿は、確かに「いいね」や「保存」をされやすい傾向にあります。しかし、一般的な情報発信だけでは、「物知りなアカウント」で終わってしまいがちです。

信頼を築くために大切なのは、そのノウハウの先にある、あなたや会社の「WHY(なぜ、そう考えるのか)」を伝えることです。

なぜ、その方法が重要だと考えるのか。その背景には、どんな失敗や成功の経験があったのか。自社の事業を通じて、お客様にどんな価値を提供したいと願っているのか。その“想い”や哲学が垣間見えることで、発信は単なる情報から、血の通ったメッセージへと変わります。あなただけのストーリーが加わったとき、人は初めて「あなたから買いたい」「あなたに相談したい」と感じるのです。

コミュニケーションを、“作業”にしていませんか?

最後に、いただいたコメントや「いいね」に、どう向き合っているかを見直してみましょう。これらを単なる「数字」として処理するのではなく、未来のお客様候補からの「声」として捉えてみませんか。

もちろん、すべてに返信するのは難しいかもしれません。しかし、一つひとつの反応の裏には、あなたの商品やサービスに関心を持ってくれた人がいます。その人たちとのささやかな対話を大切に育む姿勢が、温かいコミュニティを形成し、長期的な信頼関係へと繋がっていきます。発信は一方通行のプレゼンテーションではなく、双方向の対話です。その意識を持つだけで、日々の運用はもっと温かく、意味のあるものに変わっていくはずです。

数字の先にある「一人」を見つめて

SNS運用において、「いいね」の数は分かりやすい指標であり、モチベーションになることも事実です。しかし、その数字を追いかけること自体が目的になってしまうと、私たちは最も大切なことを見失ってしまうかもしれません。

それは、事業者と顧客の「認知のズレ」から生まれる“不幸な仕事”をなくし、関わる人すべてが幸せになるビジネス関係を創造するという、私たちの原点です。

大切なのは、不特定多数からの「共感」を集めることよりも、たとえ少数でも「本当に届けたい一人」からの深い「信頼」を得ること。そのために、まずは自社の存在意義(WHY)に立ち返り、届けたい相手を深く想い、あなたらしい誠実な言葉で発信を続けてみてください。

きっとその先に、数字だけでは測れない、温かく、そして力強い繋がりが待っているはずです。