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「一番安いので…」その一言に、心が揺れたあなたへ。価格ではなく“価値”で選ばれるための伝え方

価値を伝えられていますか?

「今回は、一番安いプランでお願いします。」

お客様の課題を解決したい一心で、何度もヒアリングを重ね、時間をかけて準備した提案。その最後にこの一言を告げられたとき、ずしりとした重さを感じた経験はありませんか。

もちろん、ご予算の都合があることは重々承知しています。けれど、心のどこかで「自分の提案の価値が、うまく伝わらなかったのかもしれない…」と、少しだけ自信を失ってしまう。そんなやるせない気持ちを抱えるのは、お客様に対して誠実に向き合っている証拠です。

価格だけで判断される現実は、提案する側にとっても、そして実は、お客様にとっても、本当の意味で幸せな選択とは言えないのかもしれません。今回は、そんな価格競争の悩みから一歩踏み出し、「あなただからお願いしたい」と価値で選ばれるための伝え方について、一緒に考えてみませんか。

なぜ、私たちの想いは「価格」の壁に阻まれるのか

なぜ、丁寧に説明を尽くしても、話は価格に収束してしまうのでしょうか。多くの営業担当者がこの壁に直面します。その根本的な原因は、スキルや熱意の不足ではなく、お客様との間に生じる**「価値に対する認知のズレ」**にあるのかもしれません。

私たちは、自社のサービスが持つ機能やメリットを熟知しているからこそ、その素晴らしさをすべて伝えたいと考えます。しかし、お客様が聞きたいのは、必ずしも「何ができるか(What)」ではありません。それ以上に知りたいのは、「それによって、自分の悩みがどう解決され、どんな未来が手に入るのか(Why/How)」ということです。

このズレが埋まらない限り、お客様は提供されるサービスを「機能の束」としてしか認識できず、比較検討する物差しが「価格」しかなくなってしまいます。結果として、「機能が少ない一番安いプランで十分」という判断に至りやすくなるのです。これは、事業者と顧客の双方にとって“不幸なすれ違い”と言えるでしょう

価格の物差しを「未来の価値」へと変える伝え方

では、どうすればこの「認知のズレ」をなくし、価値を正しく伝えることができるのでしょうか。特別な話術やテクニックは必要ありません。大切なのは、お客様の視点に寄り添い、伝える順番と内容を少しだけ変えてみることです。

「知る」から「理解する」へ。お客様の言葉の背景に耳を澄ます

お客様が口にする「コストを抑えたい」という言葉を、そのまま受け取るのではなく、その背景にある本当の課題や願望を深く理解しようと試みてみましょう。

例えば、「コスト削減」の裏には、「限られた予算で、チームの成果を最大化したい」「日々の雑務に追われず、もっと創造的な仕事に時間を使いたい」といった、より本質的な願いが隠れているかもしれません。

表面的なニーズに応えるだけでなく、お客様自身もまだ言語化できていないような、潜在的な課題や理想の未来像を一緒に探るパートナーになること。その姿勢こそが、信頼関係の第一歩となり、価格以外の判断基準を育んでいきます。

「機能の説明」から「物語の翻訳」へ。価値を相手の言葉で語る

サービスの価値を伝える際、専門用語やスペックを並べるのではなく、お客様のビジネスシーンという「物語」の中で、その価値がどのように機能するのかを翻訳してあげることが重要です。

例えば、「この機能を使えば、データ入力が自動化されます」と伝える代わりに、 「この仕組みを導入すれば、〇〇様が毎朝1時間かけていた入力作業がなくなり、その時間を使って新しい企画を練ったり、チームメンバーとの対話の時間を増やしたりできます。結果として、チーム全体の生産性が上がり、残業時間も減るかもしれませんね。」 というように、具体的な未来のワンシーンを描き出すのです。

あなたの提案が、お客様の日常をどう変え、どんな理想の未来に繋がっているのか。その物語を一緒に紡いであげることで、サービスは単なる「モノ」から、「未来を実現するためのパートナー」へと姿を変えるはずです。

「松竹梅」ではなく「3つの未来」で選択肢を示す

複数のプランを提示する際も、伝え方一つで印象は大きく変わります。単に機能の差で「松・竹・梅」と見せるのではなく、それぞれのプランが実現する「未来の違い」として提示してみましょう。

  • 梅プラン: まずは、現状の最も大きな課題を解決し、安定した基盤を築くためのプラン。
  • 竹プラン: 基盤を固めた上で、さらなる業務効率化を実現し、新しい挑戦を始める余裕を生み出すプラン。
  • 松プラン: 業界内で一歩先を行く存在になるために、未来の成長まで見据えた戦略的な投資となるプラン。

このように提示することで、お客様は価格の安さで選ぶのではなく、「自分たちがどの未来を目指したいか」という視点で、主体的にプランを選択できるようになります。

価値で繋がる関係こそが、最高の成果を生み出す

「一番安いプランで…」という言葉は、営業担当者にとって厳しい一言かもしれません。しかし、それはお客様が私たちに「もっと価値を分かりやすく教えてほしい」と送ってくれているサインでもあります。

価格競争から抜け出し、価値で選ばれる存在になること。それは、目先の売上以上に、お客様と長期的な信頼関係を築き、共に成功を目指すという、仕事の大きな喜びに繋がります。お客様の真の課題に寄り添い、その未来を一緒に描くパートナーとして、あなたの言葉で、あなたのサービスの本当の価値を伝えてみませんか。

きっとその先には、「あなたに任せたい」という、何よりもうれしい言葉が待っているはずです。