商品開発が失敗したら?損切りと成果の残し方|&Y CONCEPT
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商品開発はいつお金になる?売れなかったときに考えたい「投資」の回収方法

新しい商品や事業を始めるとき、

「これは売れそうです」
「こういう商品が欲しいです」
「作ってくれたら販売できます」

そんな声がきっかけになることがあります。

実際のニーズから始まるので、商品開発のきっかけとしてはとても自然です。

ただ、ニーズがあることと、事業として成り立つことは同じではありません。

先日、ある会社の新商品開発について話を聞く機会がありました。

メーカーや商社からの要望を受けて新しい商品を開発し、小ロットから販売を始めたものの、想定したほど販売が進まず、在庫が残っていました。

開発や販売活動を続けるほど負担も増え、事業として継続することが難しくなりつつある状況でした。

その話を聞いていて、私が一番気になったのは、

「いくらなら売れるのか」

という部分でした。

「欲しい」と「買う」は少し違う

商品開発では、現場から聞こえてきたニーズは重要です。

「こんな機能が欲しい」
「こういう商品なら便利」
「今の商品では困っている」

こうした声から、良い商品が生まれることもあります。

ただ、もう一つ確認したいのが、

「その機能に、いくらまでなら払えるのか」

ということです。

例えば、ある課題を解決できる商品があったとしても、5,000円なら欲しいけれど、3万円なら今の運用を続けるということもあります。

機能として求められていることと、商品として購入されることの間には、価格という大きな条件があります。

今回のケースについて話を聞いた限りでは、現場のニーズは確認されていた一方で、より広い市場で見たときの価格感や、既存の商品・方法との比較については、もう少し確認する余地があったのではないかと感じました。

商品開発で使っているのは「製造費」だけではない

新しい商品を作ると、分かりやすい費用として、試作費、製造費、部品代、在庫などが発生します。

ただ、会社が投じているものはそれだけではありません。

社員が市場を調べる時間。

仕様を考える時間。

取引先と打ち合わせをする時間。

試作品を評価する時間。

販売資料を作る時間。

営業する時間。

これらもすべて、会社が新しい取り組みに投入している経営資源です。

会計上の意味で、すべてを「投資」と呼ぶという話ではありません。

経営判断として考えたときに、社員が新しい商品に100時間を使えば、その100時間は他の仕事には使えません。

新しいことに取り組むということは、製造費だけではなく、会社の時間も使っているということです。

だからこそ、

「ここまで作ったのだから、もう少し続けよう」

という判断には注意が必要だと考えています。

売れない商品を、売れるまで追い続ける必要はない

今回の話を聞いて、私が最初に考えたのは、一度損切りを検討した方がよいのではないか、ということでした。

もちろん、商品によって状況は違います。

販売方法を変えることで売れることもありますし、価格や仕様を見直すことで市場に合う場合もあります。

一方で、市場とのズレが大きいまま、

「せっかく作ったから」

という理由だけで追加の営業活動や改良を続けると、さらに人とお金を投入することになります。

過去に使った費用を取り戻そうとして、これから使う費用まで増やしてしまうことは避けたいところです。

新しい取り組みだからこそ、

「どの状態になったら続けるのか」

「どの状態なら一度やめるのか」

を途中で判断することも必要です。

ただ捨ててしまうのは、少しもったいない

一方で、今回の商品を単純に「失敗した商品」として終わらせるのも、私はもったいないと感じました。

実際に商品として形にするところまで進めたのであれば、

どのような技術を使ったのか。

どのように試作したのか。

どのような課題を解決しようとしたのか。

量産すると何が難しかったのか。

販売してみて何が分かったのか。

そこには、次の開発に使える経験が残っています。

例えば今回のようなケースなら、残った商品をPoCや開発実績を説明するためのサンプルとして活用する方法も考えられます。

「この商品が大量に売れました」と言えなくても、

「ここまで実際に開発できます」

「こういう検証をしました」

「この経験から、次はここを先に確認しています」

と伝えることはできます。

商品そのものから売上を回収できなくても、その開発経験が次の相談や案件につながれば、取り組みの意味は変わってきます。

商品開発の成果を「売上だけ」にしない

もちろん、商品開発をする以上、売れることは重要です。

ただ、新しい取り組みをすべて、

「商品が売れた=成功」
「商品が売れなかった=失敗」

だけで評価すると、挑戦そのものが難しくなります。

新しいことは、事前に調査しても、試作しても、思った通りにならないことがあります。

だからこそ、最初から成果を複数考えておく方法があります。

例えば、

・商品として販売する
・市場から反応を得る
・技術や製造方法を検証する
・営業用のサンプルを作る
・次の商品開発に使える情報を得る
・自社の開発力を伝える実績にする

といった形です。

最終的に商品化を断念したとしても、何が分かり、何を会社に残せたのかが整理されていれば、取り組み全体の意味は変わります。

「作るかどうか」を決めるための調査も商品開発

商品開発というと、試作品を作るところから始まるように感じるかもしれません。

しかし実際には、その前の調査も重要な開発工程だと考えています。

欲しいと言っている人は誰なのか。

同じ課題を持つ人は、ほかにどれくらいいそうなのか。

現在は何を使って解決しているのか。

競合商品はいくらなのか。

新しい機能に対して、いくらなら払えるのか。

その価格で、自社は利益を出せるのか。

こうしたことを確認した結果、

「今は作らない」

という結論になることもあります。

でも、それも商品開発の成果です。

商品を作ってから売れないことが分かるよりも、作る前に難しいと判断できた方が、会社に残る負担は小さくなります。

新しい取り組みは、いつお金になるのか

新しい取り組みがいつ利益になるのかは、始めた時点では分かりません。

商品として直接売上になる場合もあれば、そのときの経験が別の案件につながることもあります。

反対に、どれだけ丁寧に取り組んでも、商品化をやめた方がよいケースもあります。

大切なのは、成功だけを前提に進めないことだと思います。

作る前に市場を確認する。

小さく試す。

途中で判断する。

難しければやめる。

そして、やめる場合でも、その過程で得たものを次の成果へつなげる。

損切りも、「失敗をなかったことにするための判断」ではなく、次に同じ失敗を繰り返さないための判断にできます。

新しい取り組みには、お金だけではなく、社員の時間も使われています。

だからこそ、「何を作るか」と同じくらい、

「どこまでやるか」
「いつ判断するか」
「何を会社に残すか」

まで考えておくことが、新しい事業や商品開発では大切なのではないでしょうか。

株式会社アンドワイコンセプトでは、新規事業や商品開発について、まだ商品や仕様が固まっていない段階から、市場・コンセプト・試作・検証を含めて一緒に整理しています。

作ることを前提にするのではなく、「そもそも何を確認すれば判断できるのか」という段階から考えることも、商品開発の一つだと考えています。