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もう投稿に迷わない。あなたのビジネスの「物語」を、価値ある発信に変えるためのヒント。

投稿ネタはあるのに“価値”に変換できない壁

「今日は何を出しますか?」。会議のたびに問われ、締め切り間際に“とりあえずの投稿”で乗り切る――。反応は悪くないのに、問い合わせにはつながらない。広報担当としての焦りの根っこは、「語るべき物語」が曖昧なまま、単発の情報発信だけが積み上がっていくことにあります。けれど、物語は“作る”のではなく“掘り出す”もの。企業の原点と日々の現場に眠る小さな変化を、相手の行動が変わる形に編集できれば、投稿は迷いから解放されます。

単発投稿の積み重ねがブランドを弱らせる

ネタ不足は原因ではありません。真因は、①誰のどんな誤解をほどきたいのか(認知のズレ)、②それをほどくために何を約束できるのか(独自のやり方)、③日々の出来事をどう価値に変換するのか(編集方針)が未設計なこと。ここが曖昧だと、情報は散発し、相手には“良さそうだが自分ごとではない”と映ります。広報の仕事は事実の列挙ではなく、事実を通じて「なぜこの会社か」を相手の頭と心に同時に届ける構造設計です。つまり、企業ストーリー 発信 方法の核心は“語順”ではなく“編集順”にあるのです。

証拠で締める編集ルールとKPI設計

1) 物語のコアを一文化する

はじめに、次の一文を作ります。「私たちは【誰】の【どんなズレ】を、【こうした約束】で解消し、【どんな関係】を実現する」。会議の最初に読み上げられるほど短く、現場が判断に使えるほど具体的に。以降の全投稿は、この一文に対する“証拠集め”にします。

2) 変化で語る三層ストーリー

発信は「起点→転換→価値化」で組み立てます。

  • 起点:相手の日常にある困りごとや誤解(例:価格で比較されがち)。
  • 転換:社内の工夫や判断、現場の洞察(例:選ばれる基準を再定義)。
  • 価値化:相手に起きた具体的な変化(例:比較軸が“価格”から“合う・合わない”へ)。
    写真1枚、数字1つ、言葉1つで「転換」を見せると、読み手は自分事として追体験できます。

3) 編集方針の3ルール

  • 誰の行動を変えたいかを先に決める(保存・共有・問い合わせ等)。
  • 裏取りのある事実を最低1点入れる(数値・証言・工程)。
  • 会社の約束に触れる言葉で締める(“私たちは○○を約束します”)。
    この3つがあるだけで、PR文は広告文から“関係をつくる文章”へ変わります。

4) 投稿テーマの9マトリクス

「読者の状態 × 伝える内容」で迷いを消します。

  • 状態:認知/検討/導入後
  • 内容:課題の可視化/解決のしくみ/結果の証拠
    例:認知×課題=“業界の当たり前が生むムダ”、検討×しくみ=“私たちの判断基準”、導入後×証拠=“現場に起きた具体的変化”。週3本でも9枠を順繰りに回せば、偏りません。

5) 週次フォーマットで“型”を固定

  • :先週の学び(課題の可視化)
  • :現場の取り組み(しくみの紹介)
  • :お客様の変化(結果の証拠)
    各投稿に「ねらい」「根拠」「次の一歩」を1行ずつ添えます。企画書いらずで、社内承認も早くなります。

6) 素材づくりは“同時並行”ではなく“同時収集”

現場写真・メモ・数字を、1日の終わりに3点だけ共有フォルダへ。広報は翌朝30分で編集(タイトル→起点→転換→価値化→約束の順)。“収集”と“編集”を時間で分離すると、スピードと品質が両立します。

7) KPIは行動を測る

追うべきは保存率(価値の再閲覧性)、プロフィール遷移率(関心の深まり)、具体行動(資料請求・相談)。数字は“よかったね”ではなく“次に何を試すか”の会話の起点です。

明日の30分でやること

物語は、美談ではなく“関係を変える設計図”です。誰にどんなズレがあるのかを見極め、約束と証拠で一貫して語れば、発信は迷いから解放され、社内外の意思決定が揃っていきます。投稿は一回の勝負ではありません。小さな変化を積み上げ、相手の時間を尊重し続けること。結果として、価格だけで測られない信頼が育ち、関わる人すべてが気持ちよく働ける関係が生まれます。今日の30分で、まず「物語の一文」をつくりましょう。明日の投稿は、もう迷いません。